男の活力、テストステロン!
加齢とともに、男性ホルモンであるテストステロンは減少します。テストステロンの働きは広く、思春期では、体毛、声変わり、陰茎や筋肉の発達など、第2次性徴に必要なホルモンです。成人においてテストステロンは、筋肉量と強度を保つのに必要であり、また内臓脂肪を減らし、造血作用や認知機能にも関与することが分かっています。
テストステロン値が低下すると糖尿病の誘因となるインスリン感受性が低くなり、メタボリック症候群がおきやすくなります。また、性機能、認知機能、気分障害、内臓脂肪の増加、筋肉量の減少、貧血、骨密度の減少を生じ、男性のQOLを著しく低下させます。
テストステロンの高い男が成功する!できる男とは?
女性からみても「できる男」の条件はどのようなものがあるでしょうか?
• 年収が高い
• 女性にもてる
• スポーツ万能
• 性機能が強い
• 健康寿命が長い
これらの条件すべてに実はテストステロンが関係しています。
ここでは、テストステロンとお金の関係をご紹介します。
20年間で4万件以上の婚活&恋愛アドバイスを実施された おおにし・あけみさんの記事ですが、女性からアプローチして、5人の男性のうち、ひとりからお付き合いのOKを貰える年収の関わる方程式があるそうです。最低年収÷50万円=上限の年齢だそうです。例えば年収1000万円の男性と結婚したいとすると、年収1000万円÷50万円=20歳 、30歳の女性なら、50歳が男性年齢上限となります。「え、5歳以内がいい! おじさんとお見合いしたくない!」となると最低年収÷50万円=5歳なので、5歳×50万円=最低年収は250万円となってしまいます。
また、もし仮に×なしの独身男性で、年収1000万円の男性とお付き合いをしようとすると、年収1000万円の男性は約0.5%以下になりますので、少なくとも同時に250人以上の男性と付き合って、ようやくそのうちのひとりの男性が、晴れて年収1000万円になります。
それではどのようにして、年収1000万円の男性をみつけるか?ひとり、ひとり、男性250人に年収を聞いてみる?
下のグラフはイギリスの証券マンの稼ぎとテストステロン値の関係をみたグラフになります。ひだりが薬指の長さが人差し指より長い男性、みぎが短い男性です。なんと薬指の長い男性は、圧倒的に稼ぎが多かったのです!
Proc Natl Acad Sci U S A. 105:6167-72. 2008 より引用
薬指の長い男性を選べ
イギリスの社会学者マンニング博士は2D:4D比(人差し指(第2指)と薬指(第4指)の比率)の研究で、テストステロンの高い男性は薬指が長いことを見つけました。
2D:4D比は、胎児期に母親の体内でテストステロンの影響をどれだけ受けたかサインになります。もし、テストステロンの影響が大きければ、第4指すなわち薬指が長くなり、2D:4D比が低下します。この現象はテストステロンを働かなくしたマウスでも同様のことがみられることから大きな注目を浴びました。例えば、薬指の長い男性はスポーツが得意、ほんとかうそか陰茎が長い、メタボリックや肥満と関係するなどの研究です。では胎児期のテストステロンの影響がどうして成人のテストステロン値にまで影響してくるのか、よくわかっていないこともあります。
男性更年期≒LOH症候群とは
LOH症候群という疾患をご存知でしょうか?近年、男性にも更年期障害が存在することがマスコミで取り上げられ、男の健康に対する社会的な意識が高まっています。加齢とともに男性ホルモンであるテストステロンは減少しますが、テストステロンの減少が狭心症や動脈硬化、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、骨粗しょう症、うつ病など、さまざなな疾患の成因に関係していることがわかってきています。医学的には、この加齢に伴うテストステロンの減少から引き起こされる病態を加齢男性性腺機能低下症候群(late-onset hypogonadism syndrome:LOH症候群)と定義しています。
「年のせい」にしてしまいがちな男性更年期、中高年就労男性のおよそ 1 割が更年期障害に苦しんでいる
LOH症候群の症状のうち、これは!という症状はありません。症状は大きく身体症状と精神症状そして性的症状に分けられます。身体症状は、のぼせ・多汗、全身倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力低下、骨密度低下、頭痛、頻尿など。精神症状としては、不眠、無気力、イライラ、集中力や記憶力の低下などとともにうつ症状が出る場合もあります。性的なものとしては朝立ちの消失や勃起不全(ED)性欲の低下といった男性機能の低下がまず挙げられます。もしも心当たりの症状があるようでしたら、男性更年期障害なのかどうか、自分の症状はどの程度なのかを下の表の「AMSスコア」でチェックしてみてください。AMSスコアは男性更年期障害の診断に世界的に広く用いられている質問票で、17項目の質問に5段階で回答し、それぞれの点数を合計して総点数で評価します。
表1:Aging Males’ Symptoms (AMS)スコア
1総合的に調子が思わしくない(健康状態、本人自身の感じ方)
2関節や筋肉の痛み(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)
3ひどい発汗(おもいがけず突然汗が出る、緊張や運動とは関係なくほてる)
4睡眠の悩み(寝つきが悪い、ぐっすり眠れないなど)
5よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
6いらいらする(あたり散らす、ささいなことにすぐ腹を立てる、不機嫌になる)
7神経質になった(緊張しやすい、精神的に落ち着かないなど)
8不安感(パニック状態になる)
9からだの疲労や行動力の減退(全般的な行動力の低下、余暇活動に興味がないなど)
10筋力の低下
11憂うつな気分(落ち込み、悲しい、涙もろい、意欲がわかないなど)
12「人生の山は通り過ぎた」と感じる
13「力尽きた」「どん底にいる」と感じる
14ひげの伸びが遅くなった
15性的能力の衰え
16早朝勃起の回数の減少
17性欲の低下(セックスが楽しくない、性交の欲求がおきない)
*各項目を、ない1点、軽い2点、中程度3点、重い4点、極めて重い5点で集計する。
*合計点で男性更年期障害の症状の重症度をみる:17~26点「ない」、27~36点「軽度」、37~49点「中等度」、50点以上「重症」
加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引きより
井手 久満 (いで ひさみつ)
代表理事
獨協医科大学埼玉医療センター教授、低侵襲治療センター長
宮崎大学医学部、 国立がんセンター、UCLAハワードヒューズ研究所、帝京大学を経て2020年4月より現職